MD-ing講座11

在庫管理・その1

今回から通常のMD-ing講座に戻ります。「在庫管理」について説明いたします。
在庫を示す考え方には二つあります。

1.ダラーコントロール(金額による在庫統制)・・・・何がいくらあるのか
2.ユニットコントロール(数量による在庫統制)・・・何がいくつあるのか

1.ダラーコントロール(金額による在庫統制)

この方法は、全社の商品仕入れ予算や各部門の仕入れ枠、在庫高を決定し管理できる方法です。

当期仕入高予算=販売予算+期末予定在庫高-期首在庫高

また、金額による在庫統制によって把握されたデータは、トップマネジメント、部門管理者、店舗管理者、仕入担当者などに対して、

(1)現在どれだけの商品在庫があるのか
(2)その在庫は全社的に見て、部門別・商品分類別に均衡が取れているのか
(3)売上高と在庫高との関係はバランスが取れているのか
(4)目標粗利益率は達成されているのか
(5)発注残高はいくらなのか

など、金額で示された様々な情報を提供し、MD-ingがコントロールされています。
次に、具体的実施内容について解説します。

(1)部門別統制方式
各部門で売上高・仕入高・値入率・売上総利益・商品回転率・在庫高・交差比率などを記録し、管理します。さらに、全社的に各部門の数値を比較して、全体として設定した目標に達しない部門があれば改善を計ります。進め方は、

A・・・部門別販売予測を立案します。
    過去の販売実績分析→販売予測
B・・・部門として望ましい商品回転率を立案します。
    過去の商品回転率分析→予定回転率の設定
C・・・A、Bが設定できれば次の式から在庫高が求められます。

在庫高=販売高/商品回転率

(2)商品別統制方式
各部門内の商品を各部門で決定した商品分類基準に従って分類し、大分類程度の商品群別に金額による在庫統制を行う方法です。例えば、SMの食品部門でいえば、生鮮食品・加工食品・日配食品などの分類が当てはまり、それぞれの分類別に売上高・仕入高・在庫高・商品回転率・粗利益率・交差比率などをとらえ、標準在庫高を算定します。この場合のポイントは、どの程度まで商品を細かく分類するかを慎重に検討することです。

(3)プライス・ライン別統制方式
商品の動きをとらえるのに、プライス・ライン別に分類する方法です。プライス・ラインとは、同じ種類の商品をいくつかの売れ筋価格に絞り込むことで、顧客に選択しやすくする方法です。このプライス・ライン別に売上高・仕入高・在庫高・商品回転率・粗利益率・交差比率などを把握し、販売と仕入に利用する方式です。

次回は、数量による在庫統制についてです。

(1998/12/10)

MD-ing講座10

米国の商取引用語・その2

前回に引き続き、米国の商取引用語について解説いたします。

*エフィシェント・コンシューマー・レスポンス(Efficient Consumer Response)

ECRは、その考え方、仕組みもQRを基本にして生まれた。
適正な発注量、リードタイム短縮、適正な商品構成、品切れ防止などを推進しながら、流通システムの中に潜む非効率的な取引慣行を排除して生産性を向上させ、在庫の削減を達成し、消費者により安い価格で商品を提供することを目的としている。
POS、EOS、EDI、などのコンピュータ・ツー・コンピュータの技術革新が必要である。
(1)効率的商品補充、(2)効率的店頭品揃え、(3)効率的販売促進、(4)効率的新製品導入の4つの戦術がある。

*マーケット・ディベロップメント・ファンド(Market Development Found)

それぞれの地域のSMのイベントやプロモーションに投資される援助資金で、問屋やチェーン本部に提供される資金。

*ストリート・マネー(Street Money)

それぞれの地域のSMのイベントやプロモーションに投資される援助資金で、各地域のSMや店舗自身に提供される資金。問屋やチェーン本部で把握できない資金である。

*デッド・ネット(ネット・ネット)(Dead Net/Net Net)

メーカーからの仕入価格をそのまま納入先に提示する。また、ディールやアローワンスも仕入価格から差し引いて納入価格として提示する事。

*ヴァリュー・プライシング(Value Pricing)

メーカーが小売業のPB商品との価格差是政策として導入したリスト価格を引き下げて、アローワンスを削減する価格政策。

*フォワード・バイイング(Forward Buying)

安く仕入れられる時に少々のリスクとコストを掛けてでも実際の販売時期よりも早めに仕入れておいた方が有利だと判断した商品を、前もって仕入れることを言う。

*バック・ホール(Back Hauls)

ホールセールやリテイラーが自社のトラックでメーカーの倉庫に商品を引き取りにくると、メーカーは納品コストを節約できる。
この節約された納品コスト相当分をホールセールやリテイラーに還元する事を言う。(10~12%のアローワンス)

*2パーセント10デイズ(2%10Days)

商品を販売して、請求書を発行後、10日以内に支払えば2%のディスカウントを受けられるというもの。

*フリークェント・ショッパーズ・プログラム(Frequent Shoppers Program)

優良顧客の維持、開発を目的とした小売業プログラム。
消費者に会員になってもらい、その代わりに、買物金額に応じて、あるいは特定の商品を購入した場合に点数が加算される。
このシステムは、コンピュータ化されていて、顧客の家族属性、購買履歴が蓄積されていて、誰が、何時、何を、何と、幾ら購入したのかなどが判別でき、商品構成、価格構成などに活用できる。

(1998/10/1)

MD-ing講座9

米国の商取引用語・その1

今回と次回、2回にわたり、米国の商取引用語について解説いたします。

*アローワンス(Allowance)

小売業の販売活動に対してメーカーから支払われる販売促進協賛金。アローワンスは、請求金額から支払われる。

*スロッティング・アローワンス(Slotting Allowance)

新商品を小売業が定番化するのにかかるコスト(倉庫スペース・マスターファイルへの登録・シェルフラベル打ちだし・既存商品のカット費用 etc)を、そのメーカーに負担させるというもの。数百ドル~5万ドル。

*ペイ・ツー・ステイ・フィー(Pay To Stay Fee)

商品導入から3ヶ月経過後に、その陳列スペースに引き続き止まるための支払い。

*フェイシング・アローワンス(Facinng Allowance)

有利な陳列スペースを獲得するために支払われる販売促進協賛金。

*フェイリャー・フィー(Failure Fee)

新商品の扱いを決定してから、一定期間(90日)売れ行きを見て、その間メーカーの約束した売上げレベルに達しない場合、その商品をカットし、さらにメーカーに対して一アイテム当たり数干ドルの失敗料を取るというもの。

*リベート(Rebate)

個々の商品価格体系とは別に、一定期間の取引高(金額・数量)などを基準に支払われる仕入割戻金。
リベートは、請求後に別途支払われる。

*ダイバーティング(Diverting)

メーカーは市場(州)によって異なる条件を買手に提示している。そこを突いて巨大化した流通業は自社のコンピュータ・ネットワークによって各ディビジョンに提示された条件を比較し、一つのディビジョンから他のディビジョンへの輸送コストを十分カバーできるほど、二つのディビジョンに対する値引き幅が違う場合には、より有利な条件の出ているディビジョンで商品を仕入れ、これを他の値引き幅の小さいディビジョンへ”横流し”することによって、多くの商品について最低価格の仕入れが実現できるというもの。

*ステイ・イン・フィー(Stay In Fee)

現在顧客が付いていて売れているアイテムを続けて扱ってもらうためのフィー。いわば商品継続扱い料。 理由は、他企業のアイテムがウェイティングしていて、もっと対価を払ってもいいと提案している。

*ディール(Deal)

年に何回か、メーカーが要求する量を一定期間販促してもらうために、値段を下げて(通常1ケース当たりのリベートを大きくする)商品を供給する取り引き。

*ケース・レート・ディール(Case Rate Deal)

メーカーからの卸価格は通常、仕入れ量が多くなると1ケース当たりのリベートが多くなる形で安くなる。このような取り引きをいう。

*ハイ・ロー・オペレーション(High-Low Operation)

ディールが提供されている期間は低価格(ロー)で商品を売り、その期間が終わると通常の高価格(ハイ)に価格を戻す価格政策。

*クイック・レスポンス(Quick Response)

紡織メーカーである”ミリケン・テキスタイル社”のロジャー・ミリケン会長が1980年代の半ばに提唱した考え方。その背景にはNIES諸国からの輸入品急増に危機感を抱いた米繊維産業界の競争優位性確率にあった、といわれている。QRとは、(1)適正な商品を、(2)適正な場所に、(3)適時に、(4)適正な価格で、供給するためのビジネス戦略とテクノロジーの結合と定義されている。つまり、(1)消費者の実際の買物行動の分析から、消費者ニーズを発見し、(2)その消費者ニーズを小売業だけでなく、メーカーも迅速に知り、(3)その消費者ニーズに合った商品をスピーディーに生産し、供給しようとする仕組み。
QR体制確立の条件は、(1)メーカーと小売業のパートナーシップの確立。(POSデータの公開など)(2)新しいテクノロジーの導入。(EDIなど)

(1998/8/6)

MD-ing講座8

陳列量

次は”陳列量”についてです。この”陳列量”でまず確認しなければならないことは最低陳列量を一定に保つということ、そして最大陳列量をいくつにするのか、ということです。
一般的な計算式は

(1)最低陳列量 =(リードタイム-1日)×1日平均販売数量

※リードタイム‥‥‥‥‥‥‥‥発注してから入荷し、値付けされ、店頭に陳列されるまでの所要日数。
※リードタイム-1日の意味‥‥入荷1日前の陳列量。

(2)最大陳列量 = 最低陳列量+(1日平均販売数量×発注サイクル期間)

※発注サイクル期間‥‥たとえば週間補充制なら7日間。

となります。また、最低陳列量を決める場合、販売数量の”バラつき”を考慮した決め方があります。一般的には、この”バラつき”を「標準偏差」として求めます。

「標準偏差」の式は、

  

この「標準偏差」を物差しとして、平均値から何倍離れているかということによって、ある一定の確率で、その数字が入るかどうかを知ることができるわけです。理論的には、

平均値±1σ (標準偏差)の中に68.27%のデータが入る。
平均値±2σ (標準偏差)の中に95.45%のデータが入る。
平均値±3σ (標準偏差)の中に99.73%のデータが入る。

と言われています。この1、2、3(標準偏差の前の数字)を安全係数として使用しています。
標準偏差を使った式は、

 

事例:ある商品の売上数量を2週間、毎日調べたところ次のようになりました。
標準偏差を使った最低陳列量を計算してみましょう。

第一週  5 11 10 10  8  9 13 計66
第二週 10 13  8 10  9  9 15 計74

条件:調達期間‥‥‥‥ 2日
発注サイクル‥‥‥‥‥ 7日
安全係数‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
二週間の総売上数量‥ 140
1日平均販売数量‥‥‥ 10

  

約14個あれば良いことになります。

以上が、計算式による陳列量の決め方の一つですが、それぞれの小売業によって考え方、計算方式が違いますので必ず確認してください。また計算式の答えが絶対的な数量であるなどと思わないことです。なぜなら商圏の環境は日々変化して固定的ではないからです。

(1998/6/10)

MD-ing講座7

回転

商品の意味を理解したら、次は”回転”についてです。
この”回転”でまず理解しなければならないことは「バスタブ理論」です。
「バスタブ理論」とは、店頭で扱われている商品には、よく売れて回転の早い商品から、あまり売れない回転の遅い商品まで色々あります。この事を無視してどの商品も同じ店頭在庫量にしてしまうと、良く売れて回転の早い商品は欠品してしまい、あまり売れない回転の遅い商品は過剰在庫になります。
どの商品も同じ割合で売れていき、発注や補充をしやすくするために、各商品の陳列量をその販売実績数量に合った量にする必要があるわけです。つまり、陳列量(店頭在庫量)を決定するフェイス数の配分を販売実績(各SKUごとの販売数量)に応じて決めるというのがフェイス配分の基本になります。この事によって回転数を平準化するわけです。(平準化する単位は、カテゴリー単位です。ゴンドラ1本という考え方もあります。) この事を「バスタブ理論」と言っています。
フェイス配分を販売実績数量に応じて決めると、どの商品も同じ割合で売れていき、

(1)品切れが防止できる。
(2)過剰在庫がなくなる。
(3)商品補充の回数を調整できる。

などのメリットがあります。
また、なぜ回転を平準化するのかというと、

(1)補充回数が増えると人件費が増える。
(2)伝票数が増え手間が増える。

というコストプラス要因を減らせるメリットがあるわけです。

“回転”は通常商品が1年間に何回入れ替わったかを示します。 また平均在庫高(期首在庫高+期末在庫高÷2)が1年間に何回回転して売上高を構成しているかを示しています。式は、

商品回転率=年間の売上高/平均在庫高

仕入れた商品がゼロになるまで何日(何月)かかったのか、1年間の中で商品が1回転するのに要する期間は、

商品回転日数=365/商品回転率
商品回転月数=12/商品回転率

で求められます。
また、適正フェイス数確定の計算式は、

適正フェイス数=(販売数/目標回転率×奥行き)×(12/販売期間)

で求められます。

(1998/4/6)

MD-ing講座6

商品構成

今回から”商品構成”について解説していきます。小売業の経営は、商品の販売を通じて適正な利益を確保する目的があります。この経営目標を達成するために、顧客ニーズに合った商品を、適正な時期に、適正な場所で、適正な価格で提供するというMDーingが非常に重要なポジションを占めます。
MDーingの第一歩は、その商圏内の顧客ニーズに適合した商品を取り揃える事です。この時、(1)どの様な商品を、(2)どの様に分類し、(3)どの様な価格にし、(4)どれだけの陳列量にするのか、そして(5)どう陳列するのか、つまり商品構成に関する方向性の決定が小売業の経営目標を達成するために重要な意味を持つことになるのです。 商品構成の第一ポイントは、自社で扱っている数多くの”商品の意味”を良く理解する事です。
商品には、(1)売れている商品、(2)売りたい商品、(3)見せたい商品の3種類があります。この3種類に先ず分ける事です。そしてそれぞれの商品の構成比、利益、回転などが仮説どおりかを調べ、調整する事が大切です。それぞれの意味は、

1) 売れている商品とは

*意味…………………………週○○個売れている商品
*扱い品目……………………売れている商品の全SKU
*陳列量………………………販売量に正比例
*客の行動……………………目的買いの商品
*店の目的……………………客数確保・売上確保・売場立ち寄り確保
*ゴンドラ位置………………下段・中段の大部分

2) 売りたい商品とは

*意味…………………………まだあまり売れていないが、販売促進など強化して販売量を伸ばしたい商品
*扱い品目……………………ゴンドラごとに1~2SKU
*陳列量………………………最大のフェイシング
*客の行動……………………衝動買いの商品
*店の目的……………………粗利確保
*ゴンドラ位置………………中段の1部

3) 見せたい商品とは

*意味…………………………店、売場のイメージリーダーになる商品
*扱い品目……………………当該カテゴリー合計SKUの1割り未満
*陳列量………………………1フェイス
*客の行動……………………衝動買い商品
*店の目的……………………店の個性・品揃えの豊富感
*ゴンドラ位置………………上段の1部

次回も引き続き商品構成についてです。

(1998/2/13)

MD-ing講座5

I.S.M.の内容・その2

今回は、通路の作り方についてです。入店されたお客様に店の隅々まで歩いてもらい、それぞれの売場に立ち寄ってもらうためには二つの条件があります。この二つの条件を満たすことによって客単価が上がるわけです。一つ目は、”物理的条件”と言われています。

1) 直線誘導方法(通路がまっすぐであること)
(1)通路幅が広く
(2)まっすぐである
(3)平らである
(4)通路が短すぎない

2) 入口と出口の設定方法
(1)入口は道路に面した壁際から始まる所に作る
(2)出口は同じ道路に面した入口とは反対側に作る

3) 主通路の設定
(1)逆L字型である
(2)フロアの入口から始まる
(3)壁際に沿って奥へ伸びる
(4)初めの直線が一番長い
(5)全通路中最も幅が広い
(6)主通路そのものの曲り角度は、必ず90度である
(7)主通路の終点は、入口から対角線の方向にある一番奥の売場
(8)入口は、フロアの中央でなく壁際に作る
(9)出口は、入口と同じ道路側の入口とは逆の壁際に作る
(10)入口近くの両側と突き当たりに、客を引きつける魅力売場が並んでいる

二つ目は、”心理的条件”と言われています。

1) 陳列による迫力感を出す
(1)前進立体陳列による、商品の量感

2) 陳列による連続感を出す
(1)客の目に入る所は商品のフェイスで埋め尽くす
(2)連続感を遮る柱、型の張ったゴンドラエンドの背中を商品で隠す あるいは鏡などを使って工夫する

3) マグネットの配置(店内には4つのマグネットコーナーがあります)
(1)第一マグネット主通路の両側をとりまくコーナー
(2)第二マグネット通路の突き当たりのコーナー
(3)第三マグネットゴンドラエンドのコーナー
(4)第四マグネット定番売場のコーナー

以上の条件を取り入れることによって、店内をくまなく歩いてもらい、それぞれの売場に立ち寄って貰える頻度が増えるのです。
売場を見る時のワンポイントを上げると、

イ:柱の間隔は、柱の中心から中心までは8m~9m (多層階店舗)
  柱の間隔は、柱の中心から中心までは9~12m (平屋)
ロ:Pタイルの幅は、ほとんどが30cmか45cm
ハ:主力商品は、主通路に沿って壁側に配置されている
ニ:準主力商品は、出口に近い壁側に配置
ホ:補助商品は、中央に配置
へ:売場は、入口から購買頻度の高いものから低いものへと配置されている

次回からは、商品構成についてです。

(1997/12/10)

MD-ing講座4

I.S.M.の内容 その1

顧客は何か商品を購入する時、この商品だったらAの店がいい、あの商品だったらBの店がいいと、必ずその商品を使用する場面を想定し、その場面をイメージして決めています。例えば、今日は特別な友人の来客があるとします。そんな時料理の素材をどこで購入するでしょうか。近くのいつも利用しているスーパーマーケットで購入するでしょうか。そうではないと思います。ちょっと値段は高くても質の高い、あるいは、普段なかなか購入しない変わった商品を購入するという前提で店を選択するのではないでしょうか。 このように、I.S.M.を実行する前に店としての主張をどこに置くか、コンセプトをどこに置くかが非常に重要な要素になります。まずこの事を確認しておきます。

では本題に入ります。
I.S.M.の起点は、計画購買の顧客が全体の約20%位いしかいない約80%の顧客が来店してから決めているという事から来ています。そこから、店内をある方法で“操作”していくと客単価が変化する事を導き出したのです。
まず、店舗というレベルから、プレゼンテーションの8Cがあります。 それは、

1) Cleanliness(清潔性)

*売り場がごちゃごちゃしていないこと
*清掃が行き届いていること(床・陳列什器・商品 etc)
*通路に空き箱などが落ちていないこと
*前進立体陳列がされていること
*売り場の位置が一目で分かること

2) Convenience(便利性)

*店員に聞かなくても、欲しい商品がどこにあるか分かりやすいこと
*関連する商品が一か所にまとまっていること

3) Customer Service(便益性)

*接客態度が丁寧に実施されていること
*売り場での商品説明きちんとされていること
*売り場へ行きやすいこと
*レジでのテキパキした動作ができるように訓練されていること
*店のイメージが伝わるBGMが流れていること

4) Confidence(信頼性)

*品切れがないこと
*欠陥商品がないこと
*レジで価格を間違えないこと

5) Change Of Pace(変化性)

*売り場演出に工夫があること
*陳列の工夫があること
*定期的な商品の入替えがあること

6) Color Control(色彩性)

*色の組み合わせ効果の利用があること(商品・什器・設備)

7) Comfortable(快適性)

1)~6)の総合効果

8) Cost Control

*コストが掛からないこと

以上8Cのチェックから始めます。店として顧客を迎えるに当たって最低限実施しなくてはならない項目です。

次回は、通路の作り方についてです。

(1997/10/08)

MD-ing講座3

I.S.Mの考え方

小売業の機能は、小売業の狙った顧客に、生活を豊かにするための商品を選択し、商品を仕入れ、買いやすいように店内をレイアウトし、関連のある商品群を一ヶ所にまとめ、陳列技術を駆使し、販売促進策を計画し、価格政策を考え、売上という形に還元し、その中の利益を顧客の便益のために店舗に再投資していくと言われています。 この過程の中で、一番大事な事は、売上が”客数×客単価”で決まってしまうと言う事です。どんなに素晴らしい店舗を作ったとしても客が来なくては企業として成り立たないし、どんなに客が来店しても何も買わなければ企業としては成り立たないのです。 I.S.M.はこの”客単価”に注目して、快適な買い物環境を提供し、一つでも多くの商品を購入してもらい、経営資源の生産性を最大にしようとする活動です。 I.S.M.の具体的内容は、

(1)POSデータと、消費者アンケートなどによる顧客の属性データを組み合わせて、効果的な商品構成、商品調達、補充発注を実施する。

(2)店内を隅々まで歩いてもらうようにフロア・レイアウトを設計する。

*主通路の設定
*マグネットの配置の仕方

(3)店内を歩いてもらう過程で、個々の売場に立ち寄って貰えるように商品群の関連を計画する。

*個々の通路内の商品群の配置の仕方
*売り場の演出
*商品群の関連の仕方

(4)売り場に立ち寄ったら、ゴンドラ全体を見て貰えるようにサブカテゴリーごとのゾーニング方法を工夫する。

*ゾーニングの工夫
*POPなどのアイキャッチャーなどの付け方

(5)見て貰ったら、沢山の商品を購入して貰えるように陳列方法を工夫する。

*陳列方法
*価格設定
*販売促進のタイミング

(6)補完的に店頭販売促進、マス広告などの活動が効果を高める要因になります。

となります。また I.S.M.の基礎になっている考え方に、店舗に来店する顧客のほとんどが「何を購入するかを決めていない顧客が約80%以上もいる」事に起因しています。これを非計画購入者と呼んでいます。

非計画購入者には、

(1)関連購入・・・顧客のニーズの関連性による同時購入行動。
(2)想起購入・・・購入しようと思っていたのに、来店するまで忘れていた商品を、店内で何らかの刺激を受けて思い出して購入行動。
(3)誘発購入・・・店内の販売促進で、新たに購買動機を刺激されて購入行動。
(4)衝動購入・・・関連購入・想起購入・誘発購入以外の購入行動。

の4つがあります。この非計画購入をいかに増加させるかがI.S.M.の課題になっています。

次回は、I.S.M.の具体的内容についてです。

(1997/8/18)

MD-ing講座2

商品分類について

MD-ing講座第2回目は、”商品分類について”です。
消費財の分類は一般的には、(1)最寄品、(2)買回品、(3)専門品の3つに分類されます。
しかし、この分類が商売上で現実的に使えるかというと、はなはだ疑問であります。今日では消費の多様化に伴い数多くの商品が登場し、これまでのような分類による区分の仕方では商品の適正な管理ができにくくなってきています。
より顧客思考に基づいた商品の用途、機能、ライフスタイル、使用場面といったT.P.O.にあった分類基準が求められているのです。
それでは具体的に話しを進めると、分類とは「店のマーケティング目標にあった形で、それぞれのグループ内の商品を再構成し直す事」と定義します。つまり、

(1)自社の業態特性を明確にする事。
(主力部門は何か、ターゲットとする顧客は誰なのか)
(2)顧客にとって瞬間的に理解できる売場分類になっている事。
(店舗内の売場表示がわかりやすく、使用場面が創造できる商品配列、見やすい陳列、美しい商品プレゼンテーション) であります。

また、代表的な分類基準を示すと、

売場・・・・・・・・・・・・・・・食品・衣料・住居
(グループ)

大分類・・・・・・・・・・・・・・青果・肉・魚・グローサリー
(コーナー)

中分類・・・・・・・・・・・・・・調味料・缶詰・ペットフード
(ライン)

小分類・・・・・・・・・・・・・・醤油・魚缶・犬
(カテゴリー)

細分類・・・・・・・・・・・・・・丸大豆・ノンオイル・ドライ
(サブ・カテゴリー)

品目・・・・・・・・・・・・・・・容量別・素材別・etc
(アイテム)

絶対在庫単位・・・・・・・・・・・レジ通過単位
(SKU:Stock Keeping Unit)

以上です。ポイントは、顧客にとってわかりやすいと言う事です。

(1997/06/18)