MD-ing講座9

米国の商取引用語・その1

今回と次回、2回にわたり、米国の商取引用語について解説いたします。

*アローワンス(Allowance)

小売業の販売活動に対してメーカーから支払われる販売促進協賛金。アローワンスは、請求金額から支払われる。

*スロッティング・アローワンス(Slotting Allowance)

新商品を小売業が定番化するのにかかるコスト(倉庫スペース・マスターファイルへの登録・シェルフラベル打ちだし・既存商品のカット費用 etc)を、そのメーカーに負担させるというもの。数百ドル~5万ドル。

*ペイ・ツー・ステイ・フィー(Pay To Stay Fee)

商品導入から3ヶ月経過後に、その陳列スペースに引き続き止まるための支払い。

*フェイシング・アローワンス(Facinng Allowance)

有利な陳列スペースを獲得するために支払われる販売促進協賛金。

*フェイリャー・フィー(Failure Fee)

新商品の扱いを決定してから、一定期間(90日)売れ行きを見て、その間メーカーの約束した売上げレベルに達しない場合、その商品をカットし、さらにメーカーに対して一アイテム当たり数干ドルの失敗料を取るというもの。

*リベート(Rebate)

個々の商品価格体系とは別に、一定期間の取引高(金額・数量)などを基準に支払われる仕入割戻金。
リベートは、請求後に別途支払われる。

*ダイバーティング(Diverting)

メーカーは市場(州)によって異なる条件を買手に提示している。そこを突いて巨大化した流通業は自社のコンピュータ・ネットワークによって各ディビジョンに提示された条件を比較し、一つのディビジョンから他のディビジョンへの輸送コストを十分カバーできるほど、二つのディビジョンに対する値引き幅が違う場合には、より有利な条件の出ているディビジョンで商品を仕入れ、これを他の値引き幅の小さいディビジョンへ”横流し”することによって、多くの商品について最低価格の仕入れが実現できるというもの。

*ステイ・イン・フィー(Stay In Fee)

現在顧客が付いていて売れているアイテムを続けて扱ってもらうためのフィー。いわば商品継続扱い料。 理由は、他企業のアイテムがウェイティングしていて、もっと対価を払ってもいいと提案している。

*ディール(Deal)

年に何回か、メーカーが要求する量を一定期間販促してもらうために、値段を下げて(通常1ケース当たりのリベートを大きくする)商品を供給する取り引き。

*ケース・レート・ディール(Case Rate Deal)

メーカーからの卸価格は通常、仕入れ量が多くなると1ケース当たりのリベートが多くなる形で安くなる。このような取り引きをいう。

*ハイ・ロー・オペレーション(High-Low Operation)

ディールが提供されている期間は低価格(ロー)で商品を売り、その期間が終わると通常の高価格(ハイ)に価格を戻す価格政策。

*クイック・レスポンス(Quick Response)

紡織メーカーである”ミリケン・テキスタイル社”のロジャー・ミリケン会長が1980年代の半ばに提唱した考え方。その背景にはNIES諸国からの輸入品急増に危機感を抱いた米繊維産業界の競争優位性確率にあった、といわれている。QRとは、(1)適正な商品を、(2)適正な場所に、(3)適時に、(4)適正な価格で、供給するためのビジネス戦略とテクノロジーの結合と定義されている。つまり、(1)消費者の実際の買物行動の分析から、消費者ニーズを発見し、(2)その消費者ニーズを小売業だけでなく、メーカーも迅速に知り、(3)その消費者ニーズに合った商品をスピーディーに生産し、供給しようとする仕組み。
QR体制確立の条件は、(1)メーカーと小売業のパートナーシップの確立。(POSデータの公開など)(2)新しいテクノロジーの導入。(EDIなど)

(1998/8/6)