MD-ing講座8

陳列量

次は”陳列量”についてです。この”陳列量”でまず確認しなければならないことは最低陳列量を一定に保つということ、そして最大陳列量をいくつにするのか、ということです。
一般的な計算式は

(1)最低陳列量 =(リードタイム-1日)×1日平均販売数量

※リードタイム‥‥‥‥‥‥‥‥発注してから入荷し、値付けされ、店頭に陳列されるまでの所要日数。
※リードタイム-1日の意味‥‥入荷1日前の陳列量。

(2)最大陳列量 = 最低陳列量+(1日平均販売数量×発注サイクル期間)

※発注サイクル期間‥‥たとえば週間補充制なら7日間。

となります。また、最低陳列量を決める場合、販売数量の”バラつき”を考慮した決め方があります。一般的には、この”バラつき”を「標準偏差」として求めます。

「標準偏差」の式は、

  

この「標準偏差」を物差しとして、平均値から何倍離れているかということによって、ある一定の確率で、その数字が入るかどうかを知ることができるわけです。理論的には、

平均値±1σ (標準偏差)の中に68.27%のデータが入る。
平均値±2σ (標準偏差)の中に95.45%のデータが入る。
平均値±3σ (標準偏差)の中に99.73%のデータが入る。

と言われています。この1、2、3(標準偏差の前の数字)を安全係数として使用しています。
標準偏差を使った式は、

 

事例:ある商品の売上数量を2週間、毎日調べたところ次のようになりました。
標準偏差を使った最低陳列量を計算してみましょう。

第一週  5 11 10 10  8  9 13 計66
第二週 10 13  8 10  9  9 15 計74

条件:調達期間‥‥‥‥ 2日
発注サイクル‥‥‥‥‥ 7日
安全係数‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
二週間の総売上数量‥ 140
1日平均販売数量‥‥‥ 10

  

約14個あれば良いことになります。

以上が、計算式による陳列量の決め方の一つですが、それぞれの小売業によって考え方、計算方式が違いますので必ず確認してください。また計算式の答えが絶対的な数量であるなどと思わないことです。なぜなら商圏の環境は日々変化して固定的ではないからです。

(1998/6/10)