MD-ing講座34

カテゴリー・マネジメントについて3

第六は、流通各段階の役割関係(分担)についてです。
カテゴリーマネジメントを実行する場面で、良く起こる事が、総論賛成、各論ゴチャゴチャという事です。つまり、カテゴリーマネジメントを実施する事により、売上、利益が向上するなら是非実施をしましょう。と各段階の上司が参加した会議では決まります。
しかし、ここでは実施することは決まっても、誰が、何を、どの様に、何時までに、コストは誰がどのように負担するのか、といった詳細が決まっているわけではないのです。
その後改めて現場レベルの会議が持たれるわけですが、決定権限が無い者同士の会議で、細目がなかなか決まりません。
あるいは、決まってもいざ本番になって、販売データが貰えない、貰えても紙でのデータ提供で再入力しなければならないとか、進行上の問題が起きた時社内のどの部署が責任を持って対応するのか、など色々な問題が発生します。
この原因は、カテゴリーマネジメントの実施を協同して決めた場合、実施内容、コスト、日程、目標など、それぞれの役割と実行内容を明確化していない事から発生しています。
このような状況を解決するには、決定権限の有る上司が参加する初期の会議の段階で、カテゴリーマネジメントの詳細についても議論できるように内容項目を明文化して打ち合わせを行うことです。
そのためには以下のような内容について、それぞれの段階で議論しておくことが大事になります。

A ・・・ メーカー・卸売業の役割

1. カテゴリーの動向についてのレポート化
①カテゴリー全体の市場規模
②カテゴリー全体の市場成長性
③サブ・カテゴリー別の市場動向
④カテゴリー/サブ・カテゴリー別の市場シェア
⑤カテゴリーの地域別動向
⑥カテゴリーの中のメーカー動向
⑦カテゴリーの中の新製品動向

2. 消費者に関する情報についてのレポート化
①消費者のニーズとウォンツの変化(全国トレンド)
②エリア特性
*エリア内人口・世帯数
*カテゴリーの世帯当たり購入金額動向
*カテゴリーに対する消費者の購買特性
*カテゴリーに対する消費者の消費特性

3. 計画/プログラムについて
①カテゴリー/サブ・カテゴリー分類の基準
②新規アイテム、販売促進、メディア別経費予算などの計画
③カテゴリーに占める自社の売上高と成長率
④当該小売業の自社の販売実績と構成比
⑤商圏内の競合小売業の品揃え・価格情報
⑥自社の実施したプログラムの内、当該小売業が実施しなかったもの(ISM,ISP,新製品 etc)
⑦店舗レベルの品切れ率
⑧棚割り計画
*商品の選別(品揃え)
*グルーピング
*ゾーニング
*フェイシング
⑨棚割り計画のポイント
*カテゴリー動向の把握
・需要動向
・市場動向
・新製品動向
*カテゴリー特性の把握
・商品の使用場面
・購入頻度
・ブランドロイヤリティー
*サブカテゴリーの設定
・使用者別
・パッケイジタイプ別
・利用目的別
・サイズ別
・素材別
・調理方法
・用途別
・価格別
*販売データの分析
・ABC分析
・貢献度分析
・クロスABC分析
・週間販売数量
*仮説の設定
・現状棚割りの問題点
・売れ筋商品のフェース数は確保されているか
・品揃えの重複はないか
・ゾーニングは分かりやすいか
・導入、カット商品の基準は
・売り込み商品は明確か
*棚割り提案
*調整
*棚割り検証

4. カテゴリーの効率指標
①カテゴリー管理のベスト小売業とワースト小売業の把握
②最も優れた販売促進について、その頻度、タイプ、販促ミックスの把握
③当該小売業の競合他店に対する販売促進効果の把握
④カテゴリーの陳列位置のベスト把握

1. 窓口担当者の決定
2. 全体的なマーケティング戦略についてのレポート
3. カテゴリー/サブ・カテゴリーの定義とカテゴリー・マネジャーに対するカテゴリーの担当範囲
4. 販売データ(POSデータ etc)の整備
5. カテゴリーの役割、目的、戦略についてのレポート
6. カテゴリーの効率指標(売上/利益 etc)についてのレポート
7. カテゴリーの標的市場に関する定義と市場細分化について
8. 定番/特売の販売目標について
9. 意思決定の基準(価格、スペース配分 etc)について
10. 使用用語の定義(回転率、在庫、コスト、etc)についてのレポート

次回は「第七 カテゴリーの評価について」です。

(2002/10/17)