MD-ing講座29

粗利益とロス

今回は粗利益とロスについて説明いたします。店舗の利益を判断する場合、売上の大小も重要ですが、店舗や企業の目的である利益高や利益率が重要な判断基準となります。粗利益高は、売上総利益高とも言い、売上高と売上原価の関係から次のような式で求めることができます。

Ⅰ...粗利益高

粗利益高=売上高-売上原価

粗利益高とは、一定期間の売上実績から売上原価を差し引いた金額です。 値入の後で売価変更があったり、商品ロスが発生することによって、当初の値入高より少なくなるのが普通です。

売上原価とは、売上高に対する商品の原価のことで、売上原価を求めるには、一定期間の仕入高と棚卸し時点(期首・期末)の在庫高を把握しておくことがポイントになります。

売上原価=期首在庫原価高+当期仕入原価高-期末在庫原価高

粗利益高を求める式から理解できることは、売上原価の部分が大きくなれば、粗利益高の割合が少なくなり、逆に売上原価の部分が小さくなれば粗利益高の割合が多くなることです。
また、粗利益高は、売上高と同じ様に各部門別に把握しておくことが大切です。なぜなら、店舗全体の粗利益額を向上させるには、個々の部門の粗利益額を向上させる事が必要だからです。

Ⅱ...粗利益率

Ⅲ...ロス率とロス率を見込んだ売価設定

1 ロス率:ロス高を売上高実績で割った数字を百分率で表したもの。
   2 ロス率を見込んだ売価設定:目標粗利益率にロス率(前期実績)をプラスした値入率で売価設定をしている。

※AとBの二つ式がありますが、Bの方が正確に求められます。
  3 ロスの種類には、次のような項目があります。

①値下げ(見切り)ロス
・過剰仕入/在庫
・商品選定ミス
・売価設定ミス
・季節商品仕入タイミングミス
②廃棄ロス
・廃棄ロス
・販売予測ミス
・前進立体陳列の不徹底
・先入れ先だしの不徹底
③機会ロス
・販売計画が不十分
・画一的発注
・単品管理の不徹底
・発注漏れ/忘れ
④棚卸しロス
・万引き
・レジ入力ミス
・伝票入力ミス/漏れ
・棚卸しミス
⑤商品不良ロス
⑥戦略ロス
・企業/店舗が意図的に実施する値下げ

以上のロスをいかに少なくしていくかが、小売業の利益を確実に向上させるポイントになります。

(2001/12/12)