10.まとめ 消費者と売場を結ぶカテゴリーマネジメント (財)流通経済研究所 丸山正博 氏

消費者が店舗に求めるもの

はじめに、前回の報告で述べた「非計画購買」とは、来店前には購入を計画していなかったが、来店後に店内で商品選択をして購入すること、と言い換えることができる。

つまり非計画購買率が70.8%であるということは、来店客の購入した商品の7割以上は、あらかじめ購入を決めていたものではなく、店頭でエンドを見たり価格を知ったりして購入意欲が湧いた結果としての買物であるということができる。

このことから『売場づくり』が商品購入に重要な役割を果たしていることが分かる。

次に、下記の図表は、首都圏の30~60歳台の女性を対象(有効回答数693名)として、(財)流通経済研究所が2000年11月に行った郵送調査の結果の一部である。ここでは被験者が「お店を評価する際に重視するポイント」を選択肢から3つ選んでいる。

 

図表1:店舗を評価する際に重視するポイント

消費者の半数以上が、「価格」や「利便性」や「品質」と並んで、「品揃え」を店舗評価の重要なポイントとしていることが分かる。つまり『売場づくり』で品揃え感を生み出すことが店舗選択につながるということができる。

以上のことから、『売場づくり』が、消費者の商品購入や店舗選択に重要な役割を果たしているということが分かる。

おわりに

今回のフォーラムでまとめてきたカテゴリー・マネジメントをはじめ『売場づくり』について、(財)流通経済研究所では小売・卸・メーカー約40社と共同研究を行っている。

これまで10回の報告を通して上田雅夫・寺田英治と私がまとめてきた内容は、そのような場で蓄積してきた検証結果や示唆のごく一部である。

さる3月に行われたリテール・テック・ジャパンでは、携帯メールやインターネットの普及により注目されているテキスト・マイニングやカスタマー・リレーションシップ・マネジメントに関する出展が多く見られた。またウォルマートの日本進出が決まったように、流通外資の日本参入は今後も活発化していくと考えられる。

このように日本の流通環境は今後も変化を続けていくであろうが、私達は流通の原点は『売場づくり』にあると考え、製・配・販の発展に結びつくような情報発信をこれからも続けていきたい。