MD-ing講座12
在庫管理・その2
今回は、数量による在庫統制についてです。
2.ユニットコントロール(数量による在庫統制)
数量による在庫統制には、次の3つの特徴があります。
(1)商品の物量単位(個数・枚数・グラム数)によって在庫統制をする。
(2)金額による在庫統制では把握し得ない商品の具体的動きを明らかにし、金額による在庫統制を補完する。
(3)商品管理者あるいは仕入担当者など、現場にとっての具体的な業務手段となる。
次に具体的実施内容について解説します。
(1)棚卸法
商品の在庫数量について実地棚卸を行い、在庫数量の推移から売上数量を逆算する方法。
前月末棚卸数+当月仕入数-当月末棚卸数=当月売上数
(2)継続的記録法
継続的記録法は、手持ち数量を変化させるすべての要因を継続的に記録していく方法。販売数量・仕入数量・顧客からの返品・仕入先への返品など、商品に関する数量の増減のすべてを発生のつど(通常は1日単位)記録して在庫数量を求めていく。継続的記録法を正確に実施するためには、 基になるデータを入手しなくてはならない。この場合、仕入データよりも販売データの入手が課題になる。販売データの入手方法は、
A‥‥売上伝票による方法
売上のつど、売上伝票に品名・サイズ・型・価格・数量などを記入し、毎日あるいは一定期間ごとに集計・分析・記録していく方法。
B‥‥二片式値札による方法
真ん中にミシン穴が開いていて、二片に切り取りできるようになったカードを商品に付けておき、商品が売れた時点でカードの一片を切り取って保管し、後で金額や数量を計算する方法。カードには、商品番号・価格・品名・サイズ・色・型・仕入れ先・仕入年月日などが記入されている。
C‥‥倉出伝票による方法
比較的大規模な商店で、売場の商品とバックルームにある補給用の予備商品が、場所的にも管理上も明確に区分されているような小売店で採用されている。予備商品がバックルームから売場に搬出される際に倉出伝票を発行し、これを持って在庫減、すなわち販売されたとみなす方法。この場合、売場の商品在庫を一定にしておき、販売された商品が毎日バックルームから倉出伝票をもって補充されることが制度化されているという前提が必要である。在庫統制の記録は、売場でなくバックルームで行われる。
D‥‥満棚法
売場における陳列量を一定にしておき、売れた時に補充して、補充した数量を持って売上数量とみなす方法。
E‥‥POSシステムによる方法
Point Of Sales Systemの略で、「販売時点情報管理システム」と訳されている。販売時点にコンピュータを利用して即時に売上データを作成し、商品管理を有効に行うもの。具体的には、商品の値札の一部に商品名・種類・型・色・柄・サイズ・容量・価格などをコードにして印刷し、販売時点でペンなどの読取装置でその値札をなぞると、それらのデータが一瞬にして読み取られるもの。読み取られたデータは中央のコンピュータに繋がり、それによって商品の在庫や仕入れ、売上高など各種の分析と最新のデータが得られる。
最後に在庫統制の比較表を下に示します。
次回からは、棚割についてです。
(1999/02/09)