MD-ing講座3
I.S.Mの考え方
小売業の機能は、小売業の狙った顧客に、生活を豊かにするための商品を選択し、商品を仕入れ、買いやすいように店内をレイアウトし、関連のある商品群を一ヶ所にまとめ、陳列技術を駆使し、販売促進策を計画し、価格政策を考え、売上という形に還元し、その中の利益を顧客の便益のために店舗に再投資していくと言われています。 この過程の中で、一番大事な事は、売上が”客数×客単価”で決まってしまうと言う事です。どんなに素晴らしい店舗を作ったとしても客が来なくては企業として成り立たないし、どんなに客が来店しても何も買わなければ企業としては成り立たないのです。 I.S.M.はこの”客単価”に注目して、快適な買い物環境を提供し、一つでも多くの商品を購入してもらい、経営資源の生産性を最大にしようとする活動です。 I.S.M.の具体的内容は、
(1)POSデータと、消費者アンケートなどによる顧客の属性データを組み合わせて、効果的な商品構成、商品調達、補充発注を実施する。
(2)店内を隅々まで歩いてもらうようにフロア・レイアウトを設計する。
*主通路の設定
*マグネットの配置の仕方
(3)店内を歩いてもらう過程で、個々の売場に立ち寄って貰えるように商品群の関連を計画する。
*個々の通路内の商品群の配置の仕方
*売り場の演出
*商品群の関連の仕方
(4)売り場に立ち寄ったら、ゴンドラ全体を見て貰えるようにサブカテゴリーごとのゾーニング方法を工夫する。
*ゾーニングの工夫
*POPなどのアイキャッチャーなどの付け方
(5)見て貰ったら、沢山の商品を購入して貰えるように陳列方法を工夫する。
*陳列方法
*価格設定
*販売促進のタイミング
(6)補完的に店頭販売促進、マス広告などの活動が効果を高める要因になります。
となります。また I.S.M.の基礎になっている考え方に、店舗に来店する顧客のほとんどが「何を購入するかを決めていない顧客が約80%以上もいる」事に起因しています。これを非計画購入者と呼んでいます。
非計画購入者には、
(1)関連購入・・・顧客のニーズの関連性による同時購入行動。
(2)想起購入・・・購入しようと思っていたのに、来店するまで忘れていた商品を、店内で何らかの刺激を受けて思い出して購入行動。
(3)誘発購入・・・店内の販売促進で、新たに購買動機を刺激されて購入行動。
(4)衝動購入・・・関連購入・想起購入・誘発購入以外の購入行動。
の4つがあります。この非計画購入をいかに増加させるかがI.S.M.の課題になっています。
次回は、I.S.M.の具体的内容についてです。
(1997/8/18)